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◆8月相場を占うFOMC後のパウエル議長発言
2019.07.30 -
こんにちは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
いよいよ明日、7月のFOMC後の政策金利が発表となります。
今年に入り、FRBは利下げする方向へと傾斜しており、市場の注目点は0.25%(1回分)、または0.50%(2回分)の利下げかというところに移っています。
6月のFOMCでは0.50%の利下げを予想するメンバーが半数近くいましたが、据え置きも半数で意見は二分していました。
今回の利下げは、経済指標が良好な中で行われることもあり、景気後退に陥らないための「予防的利下げ措置」の色彩が強く、市場の利下げ確率も7割強が0.25%の利下げを織り込んでいます。
ただ、市場の利下げ期待は年内に0.5%プラスαを望んでおり、金融催促相場の様相を呈しています。
これは世界のマーケットにも如実に表れており、緩和姿勢を示している欧米株は堅調なのに対して、日本株は年初来アンダーパフォームを強いられている要因です。
欧米は緩和カードが残されていますが、日本はというと年間80兆円の国債買い入れ、年間6兆円のETF買い入れを継続中です。
そして特に海外勢には「日銀は緩和カードが欧米に比べて圧倒的に少ないだろう」という懐事情が見透かされていることを意味します。
本日、日銀金融政策決定会合が行われましたが、金融政策は据え置きとの内容がお昼に日銀からリリースされました。
本日、朝方堅調だった日経平均株価が下落したのはこれが背景にあります。
朝方は多少は緩和期待があったことで前日比で170円高する場面もあったのですが、ちょうどお昼に日銀から政策据え置きの公表があると、前場21763円あった日経平均株価は13時に21665円の安値を付け、一気に100円下げる展開となりました。
◆米国でも「Buy the rumor,Sell the fact(噂で買って事実で売れ)」が起こる可能性大
明日のFOMCでもしかすると日銀と日本株と同じ展開になる可能性があります。
今回の日経平均の乱高下は海外のヘッジファンドと呼ばれる短期筋の中でもイベントドリブンを投資方針としているところの仕掛け的な部分があるとみています。
今回彼らが動いたとすれば、米国でも同じ手口をしてくる可能性があり、FOMCで政策金利が発表された直後には米国株もいったん下落する場面があるとみています。
ただ大事なのはそのあとのパウエル議長の会見です。
すでに0.25%の利下げすることは織り込まれていることもあり、
会見で「年内の利下げ余地を残すのか残さないのか」
これで随分と米国株の景色は変わってきます。
特に8月相場というのは海外勢がサマーバケイションに入ることもあって、日本株は軟調な展開となりやすいです。
メルマガ読者の方には今月半ばにもお送り差し上げていますが、外国人投資家は2010年から2018年まで9年連続の売り越しとなっています。
米国株が最高値更新、この裏にあるのは金融催促相場です。
トランプ大統領によるFRB利下げを人質にとった保護貿易を中心とする外交政策、およびFRB批判
それに屈っしてしまえば、中央銀行としての信認を失いかねないため保ちたいFRBとしての威厳、
また市場からのFRBイメージ・・・
これらを考えると、「利下げ1回でしばらくは様子見」というような会見内容が出ないとも限りません。
そうなれば、年内少なくとも2回の利下げを期待して先食いしていた米国株にとって調整を強いられることは自明の理です。
米国株が下がればそれに押されて日本株も下落する展開となってしまい、一時的に21000円あたりまでの調整を余儀なくされる可能性もあるとみています。
すべてはFOMC後のパウエル議長の会見、
これが8月の日米相場のカギを握っていると言っても過言ではありません。
よって、短期売買されている方は持ち高を調整して迎える方が安全かと思われます。