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◆新型コロナ第2波で波乱含みの4月相場
2020.03.25 -
こんにちは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
ブログの更新が滞ってしまっていてすみません。
メルマガ読者の方にはすでに配布させていただきましたが、3月16日に四季報(春号)がリリースとなり、そこでの注目銘柄レポート作成のためブログの更新を停止しておりました。
17日のお昼に読者の皆様にはレポートを配布し、今回5銘柄をピックアップさせていただきましたが早速、その中から7000番台の銘柄が+30%以上の上昇し、幸先いいスタートとなりました。
残りの4銘柄もレポート配布日の終値から考えると本日付ですべてプラス推移です^^
買われていた方おめでとうございます!
また改めて、ブログで公開したいと思います。
さて、昨晩は安倍首相がIOCのバッハ会長と電話会談し、東京五輪の延期が確定となりました。
個人的には安倍首相から申し出るとは思ってもみなくて、IOCも「中止や延期は考えていない」とコメントを出し続けていただけにどちらから切り出すのかに注目をしていました。
さらに言えば、IOCは「中止や延期は考えていないが、WHOには従う」というヘッジをかけていましたので、個人的にはWHOからの勧告でやむなしに延期や中止になるだろうとみていました。
噂では過去に延期になったオリンピックはなく、すべて戦争を理由に過去5回中止になっていることや、五輪以外でも各競技の世界大会などのスケジュールを崩すことにもなるため、「中止が濃厚」という話すら出ていました。
安倍首相(日本)からこれを切り出したということは、もしかしたら中止という最悪シナリオを避けるべく、日本から嘆願したのではないかとすら思えます。
今回どういった経緯で延期を申請することになったのか、すべては安倍政権とそれに絡む人たちにしか分かりません。
◆五輪延期でなぜ上がる?
疑問に思われた方もいると思いますが、延期はすでに株価に織り込まれていたため、いざ決定となれば不透明要因が一つ晴れることになりますので昨晩の日経先物などは4%を超える上昇を示しました。
さらに昨晩のダウ平均が2000ドル(+11.37%)を超える上昇となったことも追い風となり、本日の日本株も日経平均株価で見れば1454円高(+8.04%)の大幅続伸となり、一気に19500円を回復するところまで反発する展開となりました。
過去を振り返ると5番目に大きい上昇幅となったようです。
先日まで16000円台前半にいたのがウソのようなボラタイルな展開です。
マーケットでのプライシングは常に少し先を見て動いているため、そこを意識しておかないといけません。
「延期が発表となれば株価下がる」と仰られていた市場関係者の方もいたわけですが、果たしてこの状況で延期となって驚く人がどれだけいるでしょうか?
これだけコロナコロナと連日のようにメディアで報道されていて、開催されるとなる方がむしろ心配な人の方が多かったともいます。
延期決定、、、そうなるよね、こちらの方がしっくり来ている方の方が多いと思います。
だから株価は下がらなかったわけです。
しかし、これが「中止」となっていれば話は別です。
流石に株価も中止までは織り込み切れていないとみていましたので、もしWHOからの勧告でも中止という結果となっていれば、瞬間風速的に16000円を割り込む水準まで下押ししていたと思われます。
ただし、そのときにシナリオとしては安倍政権では伝家の宝刀である消費税の一定期間の免除なども視野に入っていたと思います。しかしこれはかなり難しい判断で、消費税を減税や免税などにしてしまえば、自身の政策を否定することになります。
よってここまで考えて安倍首相は東京五輪を延期で留められば御の字としたのではないか?と邪推しています。
すべては安倍政権にしか分かりません。。。
五輪延期報道に加えて、日本時間の14時過ぎごろに米与野党でこじれていた2兆ドル規模の経済対策で最終合意に至ったというヘッドラインも入ったことで、引けにかけて上げ幅を拡大する動きとなりました。
◆波乱の4月相場
いったんは延期という報道で不透明要因が晴れましたので、日本株も戻りを試す展開になりやすい地合いへと変わりました。
しかし、4月もまだまだ荒れるとみています。
いくつか、「相場の転換点」を示すと思われる注目しておいた方が良い指標をご紹介します。
◆上海総合指数の自律反発が必要不可欠
上海総合指数は、春節明けのタイミングで新型コロナの感染拡大が最も懸念された時期であったため、暴落してのスタートとなりました。
しかし、春節明けからの中国当局の買い支えが奏功?し、感染拡大の一途をたどる中、株価は相反するように上昇していきました。
ただ足元を見てみると今月18日にコロナ終息宣言を中国政府が発表したように、その手前あたり、ちょうど習近平国家主席が武漢市に訪問した10日あたりから買い支えはなくなり、それを皮切りにマーケットでは正常な株価形成がなされるようになり、足元の下落につながっているものとみています。
注目点は本当に中国でコロナが終息していれば、ここから中国株は徐々に持ち直してくるとみていますが、株価が一向に上がらないとなれば、中国共産党が感染者数の数字をごまかしている、または最近報道されているように帰国した中国人から「逆輸入」という形で再感染拡大の可能性があるとみておいた方が良いと思います。
ここまでは今朝のメルマガでお伝えしておりました。
以下、あと2つ注目しておいた方がいい指標です。
◆銅先物価格の復調
(銅先物価格推移〔1年・日足〕)
次にドクターコッパー(カッパー)の復調です。
足元ではきのうの終値で1パウンド=2.19ドルと2016年のブレグジットが決定となった国民投票が行われたときの水準以下まで低下しました。
世界的に工場の稼働率が鈍くなっている点や、これから出てくる2月3月の経済指標で悪いものが出てくるのは目に見えていますのでこれを見ていては即時性に欠けます。
よって、一番手っ取り早く相場の復調、転換点を知るためには銅先物価格を注視しておくと良いと思います。
これが2.3~2.4ドルあたりまで復調してくると底打ちが見えたと判断できる材料になると思います。
◆(危険シグナル)BBB格付けのジャンク債(社債)利回りと米長期金利のスプレッド
(BBB格付けと10年債スプレッド【クリックで拡大】)
これは個人投資家の方たちはあまり見ないデータだと思いますが、米国のBBB格付けのジャンク債の利回りと米10年債利回りのスプレッドです。
過去を見てもらえれば分かるように、2008年9月15日にリーマンブラザーズが経営破たんしたタイミングを契機にBBB格付けのジャンク債は怒涛の如く売り込まれ利回りが急騰しました。
リーマンショック前日の9月12日時点のこの2つのスプレッドは「3.28%」です。
しかし足元では株安とともに、米債が買われまくったことで長期金利は史上最低水準の1%を下回るところまで下がりました。
足元のスプレッドはリーマンショック前の水準をすでに超える「4.56%」まで上ってきており、このジャンク債の投げ売りによる金利上昇が続けば、危険です。
特に油価の下落によって採算の見合わないシェールオイルの中小企業などは社債やレバレッジド・ローンで資金調達しているところが多く、利払いや資金繰りが出来なくて倒産が出てくる可能性が高まってきています。
レバレッジド・ローンで組成されたCLO(担保付き債券)の規模は2018年に1兆ドルを超える成長を果たしましたが、住宅(モーゲージ)などと比べると低い水準です。
(レバレッジド・ローンの市場規模、シェア)
ただしこれがクラッシュした場合、レバレッジド・ローンよりも市場規模の大きい、基本無担保のBBB格付けのジャンク債やCP(コマーシャルペーパー)に飛び火する可能性があり、ここはクレジット市場で20%を占める規模となるため金融システミックリスクを引き起こしかねない問題となってきます。
このカギを握っているのは「コロナの早期終息」と「原油価格の下げ止まりからの早期上昇」です。
前者は神のみぞ知るものであり、誰にもいつ終息するのかは分かりません。
後者は政治的な駆け引きの色彩が濃厚で、サウジアラビアなど石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国による減産強化の交渉が今月6日に決裂し、4月からサウジは増産体制に舵を切ります。
これが長期化すれば世界のマネーフローは、「油価の低迷→(米)シェールオイル企業の倒産、(中東)サウジなどの産油国の財政悪化→オイルマネーの換金売り(アンワインド)→もう一段の株価調整」
このシナリオを余儀なくされるとみています。
「五輪中止」という最悪シナリオが抜けて、やや安心感の広がりやすい日本のマーケットであるため、目先は買い直される場面がみられると思います。
しかし、4月は上記の観点から改めて警戒感を高めておいた方が良いと思います。
この問題に対峙しうるのが、今後のFRBの資産買い入れ枠として社債を検討しているというところです。
<日経新聞WEB版 抜粋>
レバレッジド・ローンが仮にクラッシュを起こせば、FRBは間違いなく社債の買い入れまで触手を伸ばしてくると思われます。そしてこれが発動されたらその後、米国株をショートで仕掛けるのは危険です。焼かれると思います。
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