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◆日本株の目先の需給動向を斬る
2020.09.28 -
こんにちは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
本日の日経平均株価は+307円高の23511.62円でした。
今日は大きく上げたものの、ここ数日で見ると同じところを往来している状態です。
今月に入り、コロナショックの下落後から高値を更新する動きが見られましたが、そこからとんとん拍子で上昇とはならず、23000円~23500円の間を往来している時間が続いています。
この理由については「5つの要因」によって方向感がなくなっています。
詳しくは先週末のメルマガで書いていますので読者の方はもう一度お読みいただければと思います。
さて、本日はここから先の動きに関して需給動向から探っていきたいと思います。
海外勢の動きをみると先物を含む足元の売買動向では、売り越し買い越しが方向感なくどったんばったんやっています。
これが一つの小幅なレンジにとどめさせられている要因です。
彼らも「5つの要因」に翻弄させられているのだと思います笑
こちらは累積先物売買動向だけ抽出したデータですが、こちらも結局は同じですね。
ドッタンバッタンやってます。
これでは指数に動きが出ません。
じゃあ裁定の買い残は!?と言いたいところですが、こちらも現物が上昇している割には買い残は膨らんでいない状況です。
これが膨らんできて、今だと1兆円超えてくれば調整も起きやすくなるでしょうから、気を付けておいた方がいいです。足元は4000億円程度ですから恐れることはないと思います。
◆信用買い残と信用評価損益率が危険水域に
ただ、これだと方向感がつかめないので悩んでいましたが、掴めそうなものがありました。
信用買い残と評価損益率についてです。
18日付けの信用買い残は約2.4兆円まで膨らんできており、この水準はコロナ前と同等の水準です。
2番底がやってくると指を咥えて待っていた投資家たちがあれよあれよと上昇していく相場に乗れず、遅ればせながら乗っかったのが8月後半です。
ここで2.1兆円レベルから急激に買い残が膨らみ2.4兆円弱となっています。
ただ、枠でも囲っているように、コロナ前から2兆円~2.4兆円で需給が往来していることを考えるとこのあたりからピークが意識されてくるタイミングかと思います。
そしてもう一つ、信用評価損益率についても同じく、コロナ前の水準まで損益率が改善してきています。
コロナショックで暴落する前は▲10.6%だったものが、急落により一時は▲30%超の評価損益率となりました。
しかし、各国揃って大規模な金融、財政出動で対応したことにより、足元ではこれが▲11.2%まで改善してきています。
こちらも需給面で考えるとピークに達した感があります。
再び何かをきっかけに調整が起こってもおかしくはない状況です。
ただ、調整が起こったとしてもショック安になるような大きなクライシスが起こることは考えにくいともみています。
それは先述したように金融、財政による大規模なバラマキがあったことでM2(マネーストック)が日米ともに足元で急拡大しているからです。
※マネーストックとは銀行預金なども含めて世の中に供給されているお金の量です。
上図は米国のM2とS&P500指数の推移です。
ご覧いただければ分かるように、今年のコロナパンデミックが起こったタイミングから急激にM2が拡大しているのが分かるかと思います。
これは日本(日銀)も同様です。
つまり、このバラマキによるM2の急拡大の一部でも株式市場に流れてくれば、調整が起こったとしてもその調整は大きなものとはならない、なりにくくなると思います。
ただこのバラまかれたマネーからどれくらい流入するかは誰にも分かりませんが。
よって押したところは素直に買い向かえば良いと思いますし、各中銀のスタンスはマーケットフレンドリーなだけあって、足元の景気がぐらつけば追加の緩和措置が出されやすい環境でもありますし、出されなくても市場がそれを期待していて無言の圧力がかかっている状態です。
卵が先かニワトリが先か?ではないですが。
ただブログでも以前もお伝えしたようにこれまでのマーケットの主役は金融政策と需給だけでした。
たまにポリティカルリスクが顔を出す程度で。
しかし今の相場はこれらに加えて、財政も出動させているわけです。
マーケットは誰も経験したことのない「新たなフェーズに入った」ということは間違いありません。
普段何気に多くの投資家は相場と向き合っている思いますが、これは間違いなく実体経済に様々な影響を及ぼしてきます。
気付いてくださいね。