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◆追加の経済対策が発動されたら株安も?
2020.12.16 -
おはようございます。株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
【相場概況】
◆きのうの日米株価指数終値
日経平均株価 26,687.84 -44.60
TOPIX 1,782.05 -8.47
マザーズ 1,171.07 -16.81
NYダウ 30,199.31 +337.76
ナスダック総合 12,595.06 +155.02
S&P500指数 3,694.62 +47.13きのうの米国市場は3指数揃って反発、上昇する展開となりました。
ファイザーのワクチンに続きバイオ医薬品のモデルナのワクチンも近く
緊急使用許可が下りるとの観測が出たことに加えて、追加経済対策の協議への
進展も重なって幅広い銘柄が買い直される展開となりました。追加の経済対策については、超党派の議員が失業保険の拡充など与野党が
歩み寄りやすい項目に絞った案を公表、何らかの形で合意がまとまるのでは
との期待が高まっているところに、与野党での協議が夕方より行われることが
報道されるとダウは一時400ドルを超える上げ幅を記録する場面も見られました。マーケットでは足元の感染拡大や先週発表された11月の雇用統計の弱さを受けて
7480億ドル(約77兆5000億円)規模の経済対策案で、民主・共和両党が合意する
との見方が強まっています。◆追加経済対策が発動されたら株安も?
しかしこれまでもお伝えしているように大統領選挙前まではバイデン氏やペロシ
会員議長が示していた追加の経済対策規模は2兆円強でした。これが足元ではとりあえず超党派の間で「まとめられるところからまとめよう」
という話になりつつあり、規模感より早急な財政出動の方にかじ取りがなされて
いるのが今の米議会での協議です。そのため、市場が期待しているほどの規模での財政出動が行われなかった場合、
ワクチンと同様に「追加の経済対策が出るとの期待」で上げていた分、実際に
発動されればその規模感によっては失望売り、材料出尽くし売りへとつながる
可能性があるとみています。昨日のモデルナの株価の動きを見ても、ワクチン供給の話が出てもマイナスで
5%超の下落終わっています。相場の格言に「噂で買って、事実で売れ」という言葉があるように、これが追加経済
対策が発動されたときにも言えるということです。そのため追加経済対策が失望につながらないためには、FRBが取っているような
フォワードガイダンス(目先の指針)を示すことが政府当局にも必要であると
考えています。たとえば、「いったんは7500億ドルの財政出動になるが、今後感染状況によっては
この規模を拡大していく考えがある」というような前向きなガイダンスと共に
発動されれば失望にはなりにくく、これが政府当局としてあとはできるか?という
ところです。今回の大統領選挙では上院が共和党、下院が民主党というねじれ議会になっている
ことが政策立案を阻害する要因となってくるため、個人的には難しい問題であると
捉えています。本日の日本株は米国株が上昇したことで朝方は買い優勢の展開も考えられますが、
今晩にはFOMCが控えており、徐々に様子見機運の強い相場展開になると思われます。ある程度、FOMCでは追加の緩和策(月額1200億ドルの資産買い入れの拡充や国債の
長い年限の買い入れの拡充)などが期待されているところもあって、為替相場では
それを先食いした形でドル売りが先行していますが、FRB、FOMCメンバーの中では、
株価がコロナ禍で史上最高値をつけている中で、果たして追加の緩和策がいま
必要なのか?というところが見えないところです。そのため、追加の緩和策が発動されなければこれもまた失望へとつながり、ドル売り
のアンワインド(巻き戻し)と共に株安へとつながるきっかけになることも注意が
必要です。その時にドル高、円安となりますが注目点は日本株が為替に引っ張られて日本株は
あまり下げない展開になるのか、米株安に引っ張られて日本株も同程度下落するのか
どちらに感応度が強い動きになるのかが今後の相場を占う点で注目しておきたい
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