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◆パウエルFRB新議長の舵取り~株価or経済環境
2018.02.26 -
こんにちは、株の学校 マナカブ.com講師の中山です。
今月27日に下院での議会証言を控えるパウエルFRB新議長の発言に今週は注目が集まりそうです。
今月頭に米国株を始め世界のマーケットは大幅安となりました。
株安要因はことし1月からメルマガ、ブログで下げること自体、またはその要因も予見しお伝えしていた米国の長期金利上昇がトリガーとなったわけですが、今回の下落により、FRBの今後の金融政策に変更があるかどうかです。
FRBはことし年3回の利上げを予定していますが、米国の経済環境を鑑みると非常に堅調で雇用も伸びており、自動車販売は昨年と比較すると伸びがやや鈍化していますが、住宅やモノなどの消費に関しては堅調です。
特に住宅関連に関しては在庫不足から価格の高騰が起きており、「一部分」ではインフレ圧力が高まりつつあります。
今週FRBがインフレ指標としている1月のPCEコアデフレーターの発表が予定されていますが、現在のところ市場予測は前年比で1.5%程度となっており前月と横ばいです。
昨年9月に書いたブログで景気回復が堅調でも物価が上がらない理由としてFRBが不思議だと言っていることについて僕なりの見解を書きました。
http://manakabu.at-gungun.com/post-10192/
この考えについては今も変わりません。
産業構造が大きく変化したことが労賃の上昇に歯止めをかけていると思っています。
また、先月よりアマゾンはシアトルでamazon goという無人のスーパーマーケットを展開し始めました。
アプリを起動して入店し、あとは欲しいものを店外へ持ち出せば自動で決済される仕組みです。
米アマゾンは昨年6月に実店舗を持つ小売大手のホールフーズを137億ドルで買収しており、今後、この無人スーパーはホールフーズで拡大していくものと思われます。
もうムダな労働コストは要らないというわけです。
◆企業の利益は増えるが賃金は上昇しない
AIやIoT、IoE、ビッグデータが発達するに従い、企業はどんどん効率化を進めることが出来る一方で、人手と言うものが要らなくなります。
むしろ人がやるよりも精緻なデータ収集とそれに基づいた顧客へのサービスアプローチができるようになります。
となれば人件費を抑えて、その分を設備投資などに充てる動きが今後も拡大していきますので、賃金はなかなか上昇しないという状況が起こってきます。
教科書的には
景気浮揚→個人の所得増→消費増→インフレ
というサイクルが経済というものの一般的な潮流だったわけです。
しかし、ITが発展したことによって企業や人は便利さを手に入れた代償として今後大きなツケを支払っていくことになってくるでしょう。
上記のサイクルが、
景気浮揚→企業の利益増(賃金横ばい)→設備投資増→企業の利益増(賃金横ばい)というサイクル循環となり、インフレを阻害する要因となっています。
企業収益の増大が株価を押し上げるエネルギーとなりました。
これは米国に限らずいまの日本も同じです。
しかし、ただこのサイクルはいつまでも続きません。
人々は賃金が増えなければ消費に回しませんので、ゆくゆくは企業自体の利益を縮小させていく要因となってくるでしょう。
何年先になるか分かりませんが、そう遠くない未来にこの問題に衝突してくるでしょう。
よく第4次産業革命により「賃金・所得の二極化」、「10年後、20年後なくなる仕事」などが特集されますが、僕もこれに反意はなく大事なことは「そこで終わりではない」ということです。
「限界消費性向」という言葉があります。
これは所得が1増えたときに人はその所得の何%を消費に回すのかを示す数値です。
低所得者は今の生活自体が満足でないため増えた所得をほとんど消費に回す可能性がありますが、もともと高所得者層の場合は、すでに現在の生活水準に満足していることが多く、ほとんどが消費に回されないことになります。
「消費」というパイは縮小し、企業はいずれ儲けることが出来なくなってしまうのは自明の理でしょう。
これが発展していけば小池さんが希望の党でやろうとしていたベーシックインカムの話しにゆくゆくなっていくのかもしれませんが、話が逸れていくのでやめておきます。
さて問題はFRB、パウエル氏がこれに気付いているかどうか。。。
気づいていなければ相当な阿保だと思いますが、経済状況に重きを置いて金融政策の舵を取った場合、経済状況から考えるとインフレ率が上昇していくだろうと考えるでしょうから、インフレ率が顕著に表れてからの利上げではバブルを醸成させかねないため遅い(behind the curve)と判断し、先んじて利上げをしていくという選択を取ってくるでしょう。
ともすれば米長期金利の急上昇を招き、企業債務の返済負担増、これによる設備投資縮小、賃金カットなどへ波及し、リセッションを早めることになるでしょう。
一方で、今回の株価下落に重きを置いた場合、利上げペースを年2回などに緩めたり、緩めないまでもハト派的な発言に終始する姿勢を取るでしょう。
これはこれでいざ米国がリセッションに陥った際に緩和策のカードがなくなってしまうという問題にもぶつかってきます。
また、「株価を人質」にとったマーケットはFRBをそういう視点でみるようになるでしょう。
非常に難しいかじ取りであるということは言うまでもなく、その意味で27日の下院、3月1日の上院での議会証言は注目が集まるでしょう。
ただし、これは「究極の二元論」であり、ゼロを取るか100を取るかの選択肢です。
パウエル新議長にこの狭義の世界観がないことを祈るばかりです。
この二元論で共感した話が合ったので共有させていただきます。
「鶏が先か、卵が先か」問題への終止符
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